………あれから、シティ・ガーディアンズ本部での戦いから、二ヶ月が経ちました。
私、マリィはお父様とヨハン、ビリーさん、ライラさんと一緒に北を目指して旅を続けていました。
シティ・ガーディアンズでの戦いで、重傷を負ったブレンダさんは全治に半年はかかると言われ、シティ・ガーディアンズの医務室で入院しながらシティ・ガーディアンズの再建に努めるようです。お父様はシティ・ガーディアンズに残って再建の陣頭指揮を取ろうとしましたが、「社長には他にやるべきことがあります」とブレンダさんに言われ、その言葉に甘える事にしたようです。
ビリーさんはシティ・ガーディアンズでの戦いが終わった後、ヨハンに頭を下げました。それに対してヨハンは口に出しては何も言わず、ただ以前のように手を差し出しました。ビリーさんは「まだまだガキかと思ってたが、もうお前は一人前だな………」と泣きながら笑っていました。
ライラさんはビリーさんとヨハンの仲を取り持ちつつ、ビリーさんとよく一緒にいます。ライラさんはビリーさんのことが好きなのでしょうか? そう思った私はライラさんと二人で食事を作っている時に尋ねてみましたが、ライラさんは「ビリー? あんな筋肉ダルマは好みじゃないわねぇ」と言いながらシャグイモの皮を剥いていました。
ヨハンは………シティ・ガーディアンズの戦いが終わってから、みんなに話した私の秘密を聞いてもただ一人顔を変えませんでした。そして「これからもよろしく」と言ってくれました。爆風と硝煙に鍛えられたヨハンの顔は年齢と不相応に引き締まりながら、ヨハンの眼は純粋な色を湛えていました。
私はヨハンのことが好きです。きっと彼なら………。
辺り一面は瓦礫と、モンスター「だった」モノの残骸だけしかなかった。
シティ・ガーディアンズ本拠地があるノブタイの地からはるか東方。ジェイクことノアシステムNo.Jは、シティ・ガーディアンズを脱出し、東方に身を隠していた。
身を隠す………? 否、それは事実ではない。
ジェイクが東方に姿を現したのは逃げるためではない。彼には、東方でやるべきことがあった。
しっかりした足取りで瓦礫を乗り越え、焼け焦げた装甲タイルを踏み砕く。ジェイクは瓦礫の中心部にある、巨大な縦穴の前に到達した。はるか奈落へ続く穴を覗き見るジェイク。その底はジェイクのセンサー・アイをもってしても窺えなかった。
だが、ジェイクは迷うことなく奈落へと身を飛び込ませた。
秒ではなく分単位の落下の末、ジェイクはようやく「底」にたどり着く。
ジェイクの「耳」である聴音機が、光の一片も届かない「底」で何かが蠢く音を捉える。センサー・アイを向けると、そこにいたのは人間ジゴクと呼ばれる巨大なアリジゴクのモンスターだった。
「主が滅んで久しいが………まだ生きていたのか」
ジェイクは誰に言うでもなくそう呟くと、人間ジゴクを無視して「底」の奥へと足を動かす。
ジェイクの履く革靴が土ではなく、コンクリートを踏みしめるようになったのは一〇分ほど歩いてからだった。ジェイクは一歩ごとに歩調を早めていく。そして、彼はついにたどり着いた。
大口径砲弾によって大きな穴を開けられたサイバーウォール。
その穴はジェイクの身を簡単に通り抜けさせた。当然だ。奴らはこの穴を戦車で通ったのだから。
上半身を吹き飛ばされながらも「主」を護ろうと奮闘を続けたが、しかし一歩及ばずに破壊されたガードゴーレムの頭部。
ジェイクは守護者の骸には目もくれなかった。破壊された残骸に、何の用があろうか。
「……………」
ジェイクの足はついに止まった。砲弾の直撃を受け、炎に焼かれ、すっかり脆くなってしまった強化ガラスを踏んでしまい、パキンと割れる音が響いた。
「ノア………。我らの神………」
ここは地球救済センターの地下。かつて、ここに大破壊の元凶であり、人類完殺をもくろんだマスターコンピューター・ノアがあった。
だが、今はもうない。
忌々しい人間によって破壊されてしまったのだ。
そしてノアがバックアップとして残していたノアシードも、やはり人間によって破壊されたという。
地球救済センターの地下に設置されたために動けないノアを補佐するために、ノアによって生み出されたノアの端末。それがジェイクの正体である。
「一刻も早く見つけねばならぬ………」
ジェイクはノアが設置されていた場所で誓った。必ずや、「アレ」を見つけ出し、ノアを復活させるのだ。
そのためにも、邪魔になるであろうモンスターハンターどもを黙らせねばならない。
大丈夫、そのための手は打っている。ノアですら制御できなかった「野獣」ならば、いかなるモンスターハンターであろうとも問題とならないはずだから。
太陽が南に昇りきった頃、荒野に三両の戦車と一台のキャンピングカー、一台のサイドカーが停車していた。
キャンピングカーの中では少女と妙齢の女性が、二人で料理を行っていた。
「………しかし、何だ」
一方で、ヨハンの愛車であるメタル・ユニコーンの一五五ミリスパルクに布をかけて簡単な天幕をつくり、できた日陰で日差しを避けながら、中年と青年と少年の男三人組は雑談を繰り広げていた。
「あばたもえくぼってな昔からいうことだが………ヨハン、お前、大物だよな」
水筒の水を喉を鳴らして飲みながら、ビリーはジャック・イン・ザ・ボックスで料理を行うマリィに視線を送った。
「そ、そうでしょうか?」
ヨハンは赤く、熱く頬を抑えきれない。肩を縮めて目立たないように務めてはいるが………無駄な努力である事は自分でもわかっていた。
「ヨハン君には本当に感謝しているよ」
そう言ってヨハンの肩に手を置いたのはマリィの父であり、呼吸する伝説と言われているリカルドであった。リカルドも澱みのない眼差しを娘に向けていた。
「恥ずかしい話だが、私はあれほどまでに楽しそうに笑う
「……………」
ヨハンはリカルドを見やる。背の低いヨハンの視線ではリカルドの横顔は見上げる形になる。頬がこけたリカルドの横顔に、ヨハンはリカルドの苦労の証を見た気がした。
「だが、それはある意味で当然の事だった………」
リカルドの言葉を引き取り、口にしたのはビリーだった。リカルドは自分の言葉を取られたことに対しては何も反応せず、黙って頷いた。
今、ジャック・イン・ザ・ボックスからは笑い声の二重唱が聞こえてくる。ややハスキーがかった声はライラのもので、風にそよぐ花のように控えめなもう一つの声がマリィのものであった。
「本当に、よく笑っている………」
シティ・ガーディアンズ本部での戦いが終わった後のことだ。
「お父様、それは私が言います」
マリィのことについて話しておかなければならないことがある。リカルドはそう言ってマリィを自分の元へ呼んだ。しかしマリィは自らすべてを明かす事を望んだのだった。
「マリィのこと?」
怪訝な表情のヨハンたちをよそに、マリィは自ら服を脱ぎはじめた。
「わわわっ!?」
突然に服を脱ぎはじめるマリィに声をあげて慌てふためいたのはヨハンだった。だが声に出しては何も言わなかったが、ビリーもライラも、マリィの行動の真意がわからず混乱していた。
あっという間に一糸も纏わなくなったマリィ。ヨハンは自分の手で視線を覆い隠そうとする。が………。
「待って」
それを遮る声。その声をあげたのはマリィだった。
「待って、ヨハン。目を、そらさないで………」
「え、あ、いや、はい………」
体中の熱がすべて顔面に集めたヨハンは、ためらいがちの視線でマリィの裸体を見る。白い肌は誰も触れたことがなく、まるで処女雪のよう。まだふくらみかけの胸は、伝説に聞く妖精を連想させる。そして………。
「ヨハン、私はね………」
マリィはそこで言葉を途切れさせると、右手の指で左胸を
「サイバーウェア、か………」
ヨハンもライラも呆気に取られ、何も口にできなかった。しかしビリーだけは違っていた。彼は確証を得た様子で頷きながらリカルドに尋ねた。
サイバーウェアとは人間の体の一部、または大部分を機械に置き換える技術の事だ。大破壊の以前では当たり前の技術であったが、大破壊によって文明が失われた今、ロストテクノロジーの一つとされている。しかし北方のホーライに住むマリリン・グレイ博士のように、その技術を持つ者はごくわずかだが生存している………。
「いや、違う」
リカルドはビリーの質問を否定した。ビリーに答えを教えたのはマリィだった。
「私は、アンドロイドです」
アンドロイド。人工知能を搭載した人間型の機械………。
何にせよ、すべての謎は解けた。ビリーは、リカルドとマリィの二人がシティ・ガーディアンズに囚われていた際の食事に睡眠薬を混入した事があった。その際の結果は、リカルドは眠り、マリィは眠らなかった。当たり前か。アンドロイドに薬が通用するはずがない。
そしてサルモネラ・ロンダーズのフラックスが駆るクライシスと戦った際、マリィはヨハンを救うため、クライシスの放ったミサイルを迎撃した事があった。迎撃システムを持たないCユニットしか搭載していないジャック・イン・ザ・ボックスでそのような離れ業が出来たのも、マリィ自身がCユニットとなったから。
なるほど………そういうことならすべて合点がいくというものだ。
「あの、ヨハン………」
マリィは文字通り開いた胸の内を閉じると、ヨハンに向かって一歩歩み寄った。
「私、ヨハンのことを考えると、胸が熱くなるの。本当は、私がアンドロイドである事は誰にも言わないってお父様と約束していたの。でも、それってヨハンを騙すことだと思うの。だから、私、私………」
ヨハンはそっと両手をあげたかと思うと、マリィの背に手を回し………マリィを自分の元へ抱き寄せた。マリィと出会った頃は、まだマリィの方が背が高かったはずだが………いつのまにかヨハンの方が高くなっていた。
ともあれマリィを抱きしめたのだ。ヨハンの答えは言葉に出す必要もなかった。
「マリィ………これからも、よろしく」
だからヨハンはそう言ったのだ。マリィはマリィ。今までも、今現在も、そしてこれからも………ヨハンはマリィを愛していく事を誓ったのだった。
「で、社長、これからどうするんです?」
ビリーはそう尋ねたが、リカルドは答えなかった。リカルドの意識は別にあったからだ。
マリィとライラが心をこめて作った料理が折りたたみ式テーブルの上に並べられている。シャグイモのサラダとマルデカルビのフライ、そしてサンドイッチというメニューだった。食欲をそそる香りが皆の鼻をくすぐる。
「まぁ、飯が先か」
ビリーは肩をすくめると、自分も食欲に正直になることにした。
……………。
「とりあえず北に向かう」
食欲を満足させて、リカルドはようやくビリーの質問に答えた。
「北に何かあるんですか?」
ライラは食器をまとめ、折りたたみテーブルを拭きながら尋ねる。
「うん………シティ・ガーディアンズの情報部に調べさせていたのだが、ノアの端末の一つが動き出しそうらしい」
「ノアの端末………。ジェイクのことですか?」
「いや、ジェイクとは違う。また別のノアの端末だ」
「結構、たくさんあるんだな、ノアの端末って」
「北で確認されたのはノアの端末の初期型だ」
リカルドの言葉を真剣な眼差しで受け止める一同。ノアの端末との戦いは、人類の命運を決める戦いにも繋がる。ヨハンたちはシティ・ガーディアンズ本部での戦いでそのことを学んでいた。
「これが曰く付きの奴でね。ノアですら制御しかねるほどのパワーを持っていたんだ」
「制御、できない?」
「人類を絶滅させるための破壊力に重点を置きすぎたんだろうかね。とにかく言うことを聞かない奴だったのさ。だからノアはこれを幽閉し、自由を奪っていたのだが………」
「ノアはモンスターハンターによって破壊された」
「まぁ、簡潔にいうとそうなるな」
リカルドは億劫そうに頭を掻くと、一つ大きく溜息を吐いた。
「本来ならばシティ・ガーディアンズの全力をもって倒すつもりだったが………ジェイクに先手を打たれてしまったからなぁ」
それに対してヨハンが何か言おうとした時、リカルドの戦車であるシルバー・キャッスルの砲塔が動き始めた。それが意味する事は一つだ。
「敵襲!」
リカルドの声を合図に、全員が弾かれたかのように走り出す。ヨハンは砲身にかけている布を取っ払ってからメタル・ユニコーンに乗り込んだ。メタル・ユニコーンのCユニットであるアクセルノイマンは、リカルドの戦車に搭載されているSOLOMON2より少し遅れて警報を発する。
リカルドが伝説のモンスターハンターと称されるのは、彼個人の圧倒的なまでの強さに起因する。だが、彼が乗る戦車の性能もまた圧倒的であった。シルバー・キャッスルの主砲である二〇五ミリキャノンが雄叫びをあげる。最大仰角で放たれた砲弾は放物線を描いて飛んでいく。弾着ははるか向こうであった。
「凄い主砲だな………」
ヨハンは二〇五ミリという破格の大口径砲の射程距離に舌を巻く。その間にアクセルノイマンに敵の情報を表示させるよう操作する。ヨハンの左手の指がコンソールの上で踊る。
敵の情報がディスプレイに表示される。敵はマシーン系モンスター、数は一体、大きさは二メートル五〇センチほどの人型、「手」に斧のような長柄の武器を持っている………。うん、見たことない種類の敵ではあるが、外見上は大したことはない。よくあるモンスターの特徴だといえる。
だが、一つだけ抜きん出ていることがあった。それはモンスターの速度であった。モンスターは、時速三〇〇キロを上回るほどの速さで荒野を駆け回っていたのだった。
脚部の爪先と踵に搭載されたホイール。これを高速で回転させることでモンスターは速力を生み出していた。だが、ただ速いだけではない。
モンスターは足を半ば強引に曲げる。慣性を無視し、三〇〇キロという速さにも関わらず、モンスターはほぼ直角でターンしてみせた。このモンスターは自走式のローラースケートを履いているようなものだ。その機動性は戦車のそれを大きく上回っている。
ジグザグ、パルスの波長かのようなターンと直進を繰り返し、モンスターがヨハンたちに迫る。あまりの機動性に戦車の主砲は追いついていない。ヨハンたちは連射と小回りがきく副砲で立ち向かう。
スキャンレーザーの光線や、一一ミリ機銃弾、火炎放射器の炎がモンスターに襲い掛かる。
しかし火炎放射器の炎の幕を振り払い、モンスターはなおも迫る。
「結構堅いんだな………」
片膝をつき、モンスターの背後に回りこんだビリーがパイルバンカー・カスタムを構える。
ズドゥ!
一七ミリという人間用装備としては破格の大口径を誇る
だがモンスターは再び急旋回。パイルバンカー・カスタムの銃弾から逃れてみせた。しかしそれですべての危険から逃れる事ができたわけではない。再びヨハンたちによる副砲の斉射がモンスターに襲い掛かったからだ。
モンスターは斧を持つ手首を高速で回転させ、ヨハンたちの攻撃を弾くという離れ業を見せた。
「何っ!?」
ヨハンのメタル・ユニコーンに接近したモンスターは、斧を大きく振りかぶり、そして一気に振り下ろす。
グオゥ
斧が大気を切り裂く音。それがオリオールに乗るライラの耳にも聞こえた。アイツ、どれだけのパワーで振り下ろしたっていうの!
しかし斧はメタル・ユニコーンを切り裂かなかった。ヨハンが咄嗟にメタル・ユニコーンを後退させたからだ。モンスターはヨハンの機転に舌打ちすることもなく、重力を無視して地面に突き刺さっていた斧を強引に振り上げた。メタル・ユニコーンに張り巡らされている装甲タイルが、まるで紙切れのように易々と切断される。
マズイ………。こんな一撃、操縦席に受けたら一巻の終わりじゃないか。
「ヨハン!」
「ヨハン君!」
ビリーとライラの叫び声が響く。だが、行動としては何も出来なかった。次の瞬間に、再び斧が振り下ろされるだろう、メタル・ユニコーンの操縦席に。それを回避する事は不可能であった。
「だ、ダメーッ!!」
マリィの叫びは一際大きく、辺りにこだました。
モンスターは斧をメタル・ユニコーンに叩きつけようとしていたが、切っ先がメタル・ユニコーンの操縦席に触れる寸前で停止した。
「え………?」
急に行動を停止したモンスター。その意味がわからず、きょとんとした表情を浮かべるヨハン。とりあえず死神の斧からは逃れたようだが………?
「モンスターが襲ってきたかと思えば………君だったのか、GZ」
シルバー・キャッスルから降りたリカルドがモンスターに声をかける。
モンスターは戦闘態勢を解き、直立状態になってカメラ・アイをリカルドに向けた。
「お久しぶりです、ミスター・リカルド」
モンスターは流暢な言葉を話す。
「お、おい、社長、何がどうなってやがんだ………?」
急転を続ける事態についていけなくなったビリーがリカルドに説明を求める。
「コイツの名前はGZ。その昔に私とパーティーを組んでいたアンドロイドさ」
「ア、アンドロイド!?」
「それとパーティーを組んでいた!?」
何気ない口調で直立不動を続けるモンスター、否、アンドロイドを紹介するリカルド。事実を告げられても、むしろリカルドの言葉が事実であるがために、ビリーとライラの驚きは大きかった。しかし二人の驚きをよそに、リカルドはGZと呼んだアンドロイドの装甲を軽く叩きながら続ける。
「GZというのはGZ07TAO986IUNV………とやたら長い生産ナンバーの頭二文字を取ったものだが、呼びやすくていいだろう?」
「そ、そんな問題なのかしら?」
呑気にアンドロイドをGZと呼ぶようにしたきっかけを話すリカルド。父に控えめながらもツッコミを入れるマリィ。そこでGZはマリィの方に向き直り、そして跪いて恭しく言葉を紡いだ。
「お久しぶりです、
「………え?」
………闇の中で動く巨体がある。
人類完殺のためにノアが作り上げたノアの端末の第一号にして、ノアですら制御できないほどのパワーを秘めた最強の「野獣」。
「野獣」が人類はおろか地球そのものを破壊してしまうことに気付いたノアは、「野獣」を光通わぬ地下の奥深くへと封印した。「野獣」は、太陽の光をエネルギーに変える事ができたからだ。
だが………状況は変わった。
ジェイクが作り上げた機械人間たちが、「野獣」が封印されている地下室に向けてドリルアタッカーと呼ばれるSEを何発も撃ち込んでいく。ドリルアタッカーが撃ちだした特殊砲弾は地面の奥深くに封印されている「野獣」の空間に穴を開けていく。そして穴から差し込むわずかな光が、「野獣」にわずかずつではあるがエネルギーを与え始め………。
機械人間たちは、ふいに目眩を感じた。いや、それは目眩などではない。彼らが足をつけている大地が、震えていたのだから。
ドリルアタッカーを搭載した装甲車が停車している地面が急に隆起する。膨張する大地を突き破って露になったのは緑色の腕だった。腕は装甲車をおしつぶす。
「ジェイク様、成功です!」
機械人間の一体が叫んだ。
「すべてを破壊する、野獣の復活です!!」
ノアシステムNo.B ビースト。
破壊のために生み出された野獣が、今解き放たれた………。
資料
名前 | シルバーキャッスル |
シャシー | ホワイトタイガー |
主砲 | 二〇五ミリキャノン |
副砲1 | 二二ミリバルカン |
副砲2 | 二二ミリバルカン |
SE1 | エクスカリバー |
SE2 | エクスカリバー |
エンジン | V100コング |
Cユニット | SOLOMON2 |
………俺だってモンスターハンターとしちゃ結構長くやってきたさ。
だから色んな事を知っている。
楽な相手、手強い相手、恐怖を感じた相手………色んな相手と戦ってきた。
だが、今回は格別だな。俺なんかじゃ震えが止まらない。
何せ、地球が震えさせるほどの相手だからな。