軍神の御剣
第五章「A MECHANICAL GIRL」


 一九八三年二月三日。
 リベル人民共和国第二の都市にしてリベル解放戦線の総司令部がおかれているルエヴィト市中央部のホテルの二一四号室。
 北アフリカのリビアに本社を持つ傭兵派遣会社『アフリカの星』より派遣されたリベル方面陸上部隊総責任者であるカシーム・アシャは久しぶりのフリーな時間を満喫していた。
 彼は机の上にコーヒーといささか旧く、くたびれたタイプライターを置き、一心不乱に文章を打ち込んでいた。


『 ………先日より開始された政府軍の総攻撃。
 それは我が傭兵部隊の奮戦により何とか撃退に成功した。
 陸上部隊で敵を食い止め、敵を一点に集め、一気に空爆で殲滅しようとした私の作戦は見事に当たったといえる。
 政府軍はこの戦いでかなりの損害を出し、撤退を余儀なくされた。
 そして戦線は膠着状態に。
 結果、リベルは不気味な平穏にまた包まれることとなった。』


 アシャはそこまでタイプすると満足気にコーヒーカップを手に取り、熱い液体を喉に流し込む。
 リベルは東欧諸国の中でも割と寒い方………というかはっきりいって寒い国である。
 そして戦時であるために暖房は充分とは言い難かった。
 そんな状況下で飲む熱いコーヒー。
 それはまさに命の炎に注がれる燃料のようであった。このコーヒーがあるからこそアシャは今日も生きていける。
「ふぅ」
 自分で淹れたコーヒーの味に満足の笑みを浮かべながらアシャは視線を窓の外に向ける。二一四号室の窓からはリベル解放戦線のPA部隊の基地施設が見える。全長七〜八メートルの巨人が居並ぶ姿は壮観であった。
 そしてアシャは一機のPAがトレーラーに載せられ、基地のガレージに運ばれていくのを見た。
「整備班にとっての戦争は今から始まるんだなぁ」
 アシャはそう呟くと再び机に戻り、タイプライターに向かい合った。



「おっし! んじゃ、まぁ、修理を………」
 大きな声で、みんなに聞こえるように叫びながら中年の男は視線を上に持っていく。
 全高八メートルを超える巨人がトレーラーが牽引してきた台座の上で仰向けに寝転んでいる。
 しかしその巨人の右腕は無く、頭部もひしゃげていた。無惨な姿であった。
「………ったってどう直すべきかねぇ」
 『アフリカの星』リベル方面陸上部隊整備長であるヴェセル・ライマールは被っていた帽子を脱ぎ、頭を掻いた。
「ス、スイマセン………」
 ヴェセルの隣で小さくなっているのはハーベイ・ランカスター。そう、このPAは彼のガンスリンガーであった。
「なぁに、生き延びれたらいいじゃないか」
 マーシャ・マクドガルがそう言ってハーベイの背中を叩く。少し強めに叩かれたのでハーベイは軽く咽る。
「よくありませんよ!」
 ハーベイとマーシャの後ろから轟く声。可愛らしい少女の声であるが、その声質は怒りの炎を纏っていた。
 振り返るとそこにはやや長めの髪をゴムで一つに束ねた少女。作業着姿で化粧の一つもしてはいないがそれでも彼女は充分に美少女と名乗ることができた。
 彼女は手に工具箱を持ったまま、憮然とした表情でハーベイを睨んだ。ハーベイは愛想笑いを浮かべるが、彼女はつれなく、プイと顔を横に向けてしまった。彼女はハーベイがガンスリンガーを壊したことにご立腹であった。
「おう、エレナ。ご苦労さん」
 ヴェセルは少女から工具箱を受け取る。
「とーちゃん。で、どう修理するの?」
 少女の名前はエレナ・ライマール。名前とヴェセルを呼ぶ際の言葉からもわかるようにヴェセルの愛娘である。年齢は先日満一七歳を迎えたばかりである。
「あぁ、修理というかこれからやるのは解体だな」
 ヴェセルは帽子を被りなおしながら言った。
「解体? 勿体ないねぇ」
 マーシャが口を挟んだ。
「仕方ないさ。ガンスリンガーはまだ米軍内でも充分な数が調達されちゃいないんだ。しがない傭兵にまわせる分は自然と限られる。だからコイツを修理する部品なんか無いのさ」
 そう言いながらテキパキと整備班に指示を伝えるヴェセル。
「で、解体して隊長のガンスリンガーの予備部品にするわけね?」
「そ。『共食い整備』とかいう風にいわれるやり方だな」
「ま、部品が無いんじゃしょうがないか。ハーベイ君、アタシは待機所行くわよ」
 マーシャがそう言い残してガレージから去る。
 ハーベイは最初こそガレージで自分の愛機が解体される様を見ていようと思っていたが、この場ではただの邪魔でしかないと悟ったハーベイはガレージから出ようとした。
「あー! ちょっと待ちなさいよ!!」
 ガンスリンガーの胸部で使える部品を物色していたエレナが大きな声をあげた。
「え? な、何?」
 エレナがツカツカと………もとい、ズンズンとハーベイに歩み寄る。
「あのねぇ。この子はアンタの操縦のせいで重傷を負って、そして解体されちゃうのよ? アナタ、少しは責任感じないの?」
「いや………でも俺は邪魔だし………」
「だったら邪魔じゃないように私たちを手伝えばいいじゃないの! この子の最期を看取るのはパイロットの義務よ!」
「は、はぁ………」
 エレナの剣幕に気圧され気味のハーベイ。
 彼女の理屈。わかるようなわからんようなラインにあるよなぁ………彼はボンヤリとそう思った。
「ホラ! 早く手伝いなさいよ! あ、ちょっとそこのチェックリスト取ってきて!!」
「あ、ああ………」
 どうして俺の周囲の女性はこんな男勝りばかり………って戦場にいるんじゃあ男勝りにもなるか。
「はははは。災難だな、ハーベイ」
 エレナの使いっ走りとなったハーベイ。そんな彼に笑いながら声をかけたのはチャールズ・ボブスレーであった。
「父っつぁん………どうしたんです? こんなガレージに。あ! まさか酒がなくなったから工業用のメチルアルコールを盗みに来たとか!?」
「バカ野郎! メチルアルコールなんか飲んだら失明しちまうじゃねーか!!」
「ボブ。また来たのか?」
 ボブスレーの姿を見つけたヴェセルが油で汚れた手を拭いながらこっちに来る。
「おう、ヴェセルか。まぁ、いいじゃねぇか」
 そう言うとズボンのポケットからポケットウィスキーの瓶を取り出し、グイッと呷るボブスレー。
 ボブスレーとヴェセルは付き合いが長く、ずっと同じ部隊でパイロットと整備兵をやっているのであった。
「あ、ボブ!」
 エレナが嬉しそうにボブスレーの元に駆けて来る。
「ぃよう、エレナ。元気そうじゃねーか」
「あ、またお酒飲んでるの? ほどほどにしないと健康に悪いよ?」
「ガハハハハ。大人ってのはこれくらいの酒じゃ酔わんのさ」
「………ではボブ。エレナを頼むぞ」
 ヴェセルはそう言うとガンスリンガーの方に向った。ハーベイはそのヴェセルの横顔に何か違和感を覚えたが、その違和感の正体が何かはわからなかった。
「ハーベイ」
 エレナがハーベイの方に顔を向ける。まだ幼さを残す顔立ちであるが、将来はモデルも顔負けするほどの美女になると確信させるものを持った顔であった。ハーベイは自分の頬が少し熱を帯びたのを知覚した。
「ハーベイも少しはボブを見習ってよね。ボブは自分の機体を壊したことないんだから!」
「うぅ………本当にすまなかった。ソーリーって謝ってるじゃないか、何度も!」
「まぁまぁ。エレナ。ハーベイは決してヘタなんかじゃないんだぜ?」
「でもあの子が………」
 チラリとガンスリンガーに目をやるエレナ。その目は本気で悲しそうであった。
「だがな、エレナ。相手も必死だったんだ。こないだの敵はあのアンディを殺した奴らだった。俺やクリューガーも何とか生きて帰れたが、運が悪けりゃ殺されてたさ」
「……………」
「でもな、ハーベイ!」
 ボブスレーはクルリとハーベイに向く。
「お前のPAの操縦が荒いのも事実だぜ。関節各部にかなり無茶させてるってヴェセルも言っていたぞ」
「う………」
「てなわけでハーベイ。お前は整備班への謝意を込めてガンスリンガーの解体に付き合うこと! いいな?」
「はぁ。仕方ないか………わかったよ。で、エレナ。俺は何をすればいい?」
「さっきチェックリスト取ってきてって言ったじゃないの、もう!」
「あ゛………」
 大慌てでチェックリストを取りに行くハーベイ。
 エレナも整備班に戻り、ガンスリンガーの解体を続ける。
「若手の指導、ご苦労様」
 ボブスレーの後ろからエルウィン・クリューガーが声をかける。
「バーロー。そんなんじゃねぇよ」
「そうか。そうだったな………大変だな、父っつぁんも」
 クリューガーはそう言うとボブスレーの肩をポンッと叩く。
「さて、何のことだ?」
 ボブスレーは憮然とした表情で言った。
「彼女とハーベイをくっつけたいんだろ?」
「冗談キツイね。あんな若造にやれるもんか」
「ふふ………ま、そういうことにしとくか」
 そこまで言ってクリューガーは話題を変えた。
「そうそう。もうじき本社からの補給物資が届くんだ。整備班がこれなんで、俺たちが中身の確認をすることになった」
「おう」
 ボブスレーはそう答えるともう一口だけポケットウィスキーの瓶を空け、口に含む。
「………行くぞ」
「あ? ああ、今行く」
 ボブスレーは名残惜しそうにガンスリンガーの解体風景を見ていた。



「まだ来てないのか?」
 ボブスレーを連れてルエヴィト郊外の飛行場までやってきたクリューガー。
 エリック・プレザンスとマーシャはすでに飛行場に待機していた。
「たった今、本社から連絡があったわ、エル」
 まるで小鳥のさえずりを思わせる美しい声。
 クリューガーはその声に表情を心持ち緩める。
 それはカシーム・アシャの副官であるサーラ・シーブルーの声であった。彼女とクリューガーは恋仲であり、その仲のよさは有名である。
「どうも輸送機、遅れてるみたいよ」
 サーラはそういうとクリューガーにそのことを報告した紙を手渡す。
「やれやれ………せっかくリベル・ローズの放送を聴いてたってのになぁ」
 エリックが心底無念そうに息を吐いた。
「何だ? アンタ、まだあの放送聴いてたのかい?」
 リベル・ローズとは政府軍のプロパガンダ放送の女性アナウンサーの通称である。
 反政府軍に雇われているエリックが彼女の放送を心待ちにしているのはあまり好ましくは無いのだが………
「あの子の声が俺の戦意を支えてるんだ。文句あるか?」
 むしろ胸を張って、エリックは言った。
「エル。貴方も色々と大変そうね」
 サーラの言葉にクリューガーは苦笑を浮かべるしかなかった。
「おっ? 来たみたいだぜ」
 右手を右耳に添えてながらボブスレーが呟いた。
 ボブスレーに倣う一同。
 確かに聴覚は大気をつんざくジェットエンジンの金きり音を捉えていた。
 ベトナム戦争末期や第四次中東戦争などの戦場で活躍したアメリカ軍が世界に誇る超大型輸送機 C−5 ギャラクシーがフラップを下げ、高度と速度をゆっくりと落としながらルエヴィト郊外の飛行場に降り立った。
 そのギャラクシーは尾翼の髑髏のマーク。機首にシャークマウスという非常に趣味的で派手な塗装が施されていた。
 『アフリカの星』輸送部門所属ALICE12がリベルの地に降り立った瞬間であった。。
「デカいな、何度見ても………」
 ギャラクシーの大きさは圧巻であり、エリックは思わずその大きさに溜息を漏らした。


 ギャラクシーが降り立ってからすぐに積荷の降ろし作業は始まった。
「ふぃ〜。ご苦労さんなこった」
 髪は黒々としているものの、頭頂部の地肌が完全にむき出しになった中年男が、脱いだ帽子で自分を仰ぎながら呟いた。目にはトレードマークのサングラスをかけている。
「親分。呑気なこといってますけど、荷物を全部降ろしたら速攻でフランクフルトに向いますよ」
 生真面目そうな日本人の青年が声をかける。
「やれやれ。リビアからリベルまで飛んで、ちょっと休憩しただけで今度はフランクフルトかよ………冗談じゃないぜ」
 中年男はパイプを咥え、葉を詰めて、火をつけながらぼやく。
「仕事は忙しいうちが華だろ、モーガン」
 傍らにサーラを従えながら、クリューガーが中年男に声をかけた。
 モーガンと呼ばれた中年男はクリューガーに気付くとすぐに手を振った。
「久しぶりだな、クリューガー。リベルの女の抱き心地はどうだ? ん?」
 好色な笑みを浮かべ、小指を立てて尋ねるモーガン。
「残念だが俺には彼女がいるんでな」
 クリューガーはそう言うとサーラの肩に手を置き、自分の許に引き寄せる。
「で、すぐにフランクフルト行きだって? 大変だな」
「まぁな。ま、フランクフルトだったらまだ近くていいよ」
「残念ですが、フランクフルト行きだけじゃ終わりませんよ」
 大柄な黒人の男がモーガンに言った。
「え? どういうことだい、ディンキー?」
 日本人青年が尋ねる。
「その後にドイツのラインメタル社で、本社での訓練用PAを受領して、それから本社に帰還です。その間、休む間無し。そういうスケジュールなんだよ、ロクスケ」
「マジかよ………」
 日本人青年 工藤 六介は思わず頭を抱え、しゃがみこむ。
「でも随分とハードスケジュールね?」
 サーラが口にした感想に対し、六介は何かを思い出したようだ。
「そうだ! やっぱり親分が悪いんじゃないですか!!」
 そういうと六介はモーガンの胸元をグッと掴む。
「親分がグレイスの胸を触るから、彼女怒って俺たちに超過密スケジュールを………」
「おお、あれが原因かぁ。うん、グレイスの胸は柔らかくてえがったぞ、ロクスケ!」
 悪びれないどころか自慢げに言うモーガン。
「あんたって人はあああぁぁぁぁ!!」
 完全にブチ切れる六介。
「どこもかしこも問題児だらけみたいね、エル」
 サーラの言葉にやはりクリューガーは苦笑しながら答えた。
「ま、こんなヤクザな仕事やってたらしょうがないさ」
 取っ組み合いの口論を続けるモーガンと六介を背にしながらディンキーは肩をすくめて見せた。


「え〜と………パンツァー・カイラー用の予備部品は、と………あぁ、これか」
 帳簿をパラパラとめくりながらエリックは思った。どうせめくるなら女の子のスカートといきたいもんだ。
「? ………なんでトイレットペーパーが大量に入ったコンテナがあるんだい?」
「マーシャ。そのコンテナはドイツへ運ぶんだそうだ」
 『アフリカの星』の輸送部門は戦場で戦う傭兵たちへの補給物資を運ぶだけでなく、通常の民需品を運ぶこともある。戦地を横断することなんかザラにあるので頼んだ品物が届かない可能性はあるものの、その分料金は格安であり、博打打ちな経営者はこのサービスをよく利用していた。
「ハーベイが今度乗ることになる機体はどれだぁ?」
 興味津々といった感じでギャラクシー内部を詮索するボブスレー。
 そんな彼はある機体を発見し、表情を凍りつかせた。
「コイツは………」
「どうした、父っつぁん?」
 エリックはボブスレーの視線の先を見る。
 そこには一機のPAが鎮座していた。
 見た感じ、やや古めかしく、野暮ったい感じであった。
「コイツは………またえらく懐かしい機体じゃねぇか………」
「え?」
「コイツは日本の第一世代PA。三八式装甲巨兵じゃねぇか………」
「さすがは。よくご存知ですね」
 ギャラクシー内部に響く拍手の音。
 エリックとボブスレーは拍手の音の方に視線をやる。
 そこには一人の青年がたっていた。
 容姿には気を使わないのであろう。髪はボサボサで服はよれよれ。しかし眼鏡の下の眼光は知的好奇心で輝いていた。
「私は大日本帝国陸軍装甲阻止力研究所保髏死畫壊設計局勤務の田幡 繁です。以後お見知りおきを………」
「そりゃどうも………って! 何で今更第一世代PAなんか持って来るんだよ。こんな旧式でどうしろっての」
 エリックが呆れた声をあげる。
「おや? 本当にそう思われてますか? でも貴方なら違いますよね、チャールズ・ボブスレーさん?」
 田幡はボブスレーを見る。
「………三八式の改良型か」
「ご名答。三八式の姿勢制御OSを現代のものに変えた………というよりは組み込んだ、が正確ですかね。何せ三八式は………」
「姿勢制御がすべて人力任せだった、だろ? お前みたいな若造に言われなくともわかっとる」
「失礼。釈迦に説法でしたね。何せ貴方は………」
 眼鏡をクイッと持ち上げる田幡。
「史上初のPA戦を経験した男ですからね、ボブスレーさん」



 リベル人民共和国首都リベリオン。
「隊長」
 政府軍が誇る精鋭部隊『紅き獅子』所属のレアード・ウォリス少尉が敬愛する上官に声をかけた。
「どうした?」
 『紅き獅子』隊長であるレオンハルト・ウィンストン大尉は読んでいた本を閉じ、尋ねた。
「はい。実はよからぬ噂を耳にしました」
 レアードの声に眉をひそめるレオンハルト。
「レアード。我ら軍人は噂を当てにするわけにはいかないのだぞ」
「はい。それは百も承知です。だからあくまで世間話です」
「……………」
 無言で続きを促すレオンハルト。
「ミロヴィッツ大佐の部隊に不穏な動きが見られます」
 ミロヴィッツという単語を聞いた瞬間にレオンハルトは眉をしかめた。
「奴か………あの『虐殺部隊』め。今度は何をするつもりだ………」



 リベリオン郊外。
「お呼びですか、ミロヴィッツ大佐」
 件のミロヴィッツ大佐率いる大隊はリベリオン防衛にあたっている。
 そしてミロヴィッツ大隊の司令部がおかれているリベリオンのオフィスビルの一室。
 そこにミロヴィッツは十数名の部下を集めた。彼がもっとも頼りにしている男たちであった。
「うむ。お前たちに特命を与える」
 ミロヴィッツの言葉に男たちは身を引き締めた。
「これを読め」
 そして男たちの中でもっとも階級が上のマモヴィッチ中尉に一通の書類を手渡す。
 最初はパラパラと書類に目を通していたマモヴィッチであったが次第に彼の表情が激変する。
「こ、これは………」
「ククク。これで叛乱軍の奴らも終わりだ。そう思わんか、マモヴィッチ」
 ミロヴィッツが冷たい笑みを浮かべる。
 目的のためならばどれほどの犠牲がでても構わないと信じる者のみが浮かべれる、極寒の笑みであった。


第四章「Crimson Leo」

第六章「Straw for being burned」

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