「長官、角田中将より入電」
その報が入るや否や山本 五十六連合艦隊司令長官は椅子から立ち上がった。
「始まったか?」
山本の問いかけに対して通信参謀はコクリと頷いただけであった。無礼ではあったが山本は気に留めなかった。
「いよいよ始まる・・・・・・」
GF(連合艦隊)司令部の一同を代表して宇垣 纏参謀長が感想を述べた。
「鋼鉄の大海獣の宴が・・・・・・」
「敵艦発見!距離四五〇〇〇!!」
見張り員の報告が入る。電探室よりの報告でも距離は四五〇〇〇と言っていた。帝国海軍が世界に誇る見張り員の視力は電波を用いた科学兵器に匹敵するほどであった。
戦艦信濃・・・・・・
帝国海軍がワシントン軍縮条約の期限切れと共に建造を開始した大和型戦艦の三番艦にして、現在GF内で最も新しく、そして最も強い戦艦。
その艦橋内で仁王立ちするは帝国海軍随一の猛将、角田 覚治中将である。
「砲戦距離三八〇〇〇だ。いいな?!」
角田はそう宣言すると静かに眼を閉じた。だがその全身からこれから始まる宴への期待が滲み出ていた。
「長官、敵は長砲身四〇センチ砲戦艦一〇隻であります。我が大和型は三隻・・・・・・如何に大和型が優れていようとも苦戦は必至です!」
敵艦隊は戦艦部隊を二つに分けている。一つは報告にあった最新鋭のアイオワ級四隻。もう一つはサウスダコタ級四隻とノースカロライナ級二隻。この第二隊はアイオワよりは旧いがそれでも開戦後に就役した新鋭艦である。
翻って、連合艦隊の戦艦で開戦後に就役したのは大和型の大和、武蔵、信濃のみである。
それを踏まえて主席参謀の神 重徳大佐が諫言する。
「だが戦わねばならん。そうしなければ帝国は亡国となるであろう・・・・・・」
角田の決意は固い。
「いえ、私に策があるのです。採用していただけますか?」
神は角田に自らの秘策を提案した。
「・・・・・・なるほどな。それならば普通に殴りこむ以上の戦果を挙げれそうだな・・・・・・よし、採用しよう!!」
角田の返事に神は破顔し、敬礼。
「ありがとうございます!!」
「ジャップの戦艦は戦隊を三つに分けてあります」
合衆国海軍の戦艦部隊指揮官ウィリス・リー少将は沈黙をもって続きを促した。
「一つの戦隊はコンゴウクラス四隻です」
「コンゴウ・・・・・・三六センチ砲搭載の旧式戦艦だったな?」
リーの問いに参謀は頷いた。
「はい。元が巡洋戦艦なだけに速力は三〇ノットと素早く開戦以来、主に機動部隊と共にしていました」
「ふむ・・・・・・だがこの海域の戦艦の中では一番脅威ではないな」
リーの判断は妥当であった。もっとも脅威的な敵から仕留めるのは戦争の鉄則だ。
「二つめはナガトクラスとイセクラスの四隻です」
「ナガト?あの世界初の四〇センチ砲戦艦にして『世界のビッグセブン』のナガトか?」
「イエス、サー」
「イセは確か三六センチ砲戦艦だったな。先程のコンゴウクラスよりは脅威的だが・・・・・・」
砲術参謀は指揮棒を最後の一隊に向けた。
「最後の三つ目の戦隊・・・・・・これがジャップの新型戦艦ヤマトクラスです」
「ヤマト・・・・・・」
リーが密かに身震いする。無論、武者震いである。
「ヤマトクラスの戦力は未だ未知数です。ですが大きさなどから判断して長砲身四〇センチ砲戦艦と思われます」
「根拠は?」
「はい、全長が我々のアイオワクラスよりも短いからです。また、艦の大きさ的にも四〇センチ砲戦艦が妥当だと思われます」
航空写真等の分析からヤマトの全長は二六〇メートル程である。アイオワの全長はそれよりも長い二七〇メートルである。
「・・・・・・ふむ。まぁ、とにかく戦術の基本で戦うとしよう。アイオワクラス四隻はヤマトクラスを。サウスダコタとノースカロライナ部隊はナガトクラスを叩くように言ってくれ。砲戦距離は三五〇〇〇と言う所だろう」
リーたちの方針がまとまるころには両艦隊の距離は四〇〇〇〇を切ろうとしていた。
「さて、面舵一杯だ、艦長」
角田の指示に頷いた阿部 敏雄信濃艦長は面舵を指示する。
これにより米戦艦部隊と角田艦隊は「T」の字を描く形となる。
これこそがかつての日露戦争で東郷 平八郎がバルチック艦隊に仕掛けた奇策、「T字戦法」である。
戦艦は基本的に敵を舷側に持っていった場合が一番強い。なぜなら前部、後部の主砲で敵艦を撃てるからだ。
そして自分が「T字」の横線部分になることで敵の火力を減ずるのがこの戦法の最大の目的である。
だがそれは米海軍も熟知していた。
「敵艦隊変針!!」
見張り員の報告にも角田たち、信濃艦橋員の誰一人驚かなかった。予定調和という奴だ。
「ま、これはしかたないわな・・・・・・」
「敵艦との距離三八〇〇〇!!」
見張り員の報告が響く。
だが信濃はまだ撃たなかった。後続の大和、武蔵も然りである。
「まだ撃つつもりはないのか?」
リーは訝しげな表情となる。
「まあいい。先手必勝だ!オープン・ファイア!!」
速力の関係で角田艦隊に一番接近していた四隻のアイオワ級が一艦あたり九門の四〇センチ砲を轟かせた。
「・・・・・・ふん、あたらないね」
日米の戦艦対決を遥かなる天空より眺めるというのは中々に乙なものである。
信濃に搭載されている零式観測機に乗り込んだ山田二飛曹は自分が特別な存在のように思えて仕方なかった。
先の航空戦の結果、米海軍の艦載機は激減し、この海域の制空権すら確保できていなかった。
だから複葉ゲタ履きの零式観測機でも悠々と弾着観測に励めると言うものである。
その時、後席の野本一飛曹が叫んだ。
「信濃、砲撃開始!!」
目標との距離が三八〇〇〇となるや否や信濃は吼えた。
グウォーン!!
地球上最大最強の戦艦を自負する大和型戦艦三番艦信濃の第一斉射はこうして始まった。
前後あわせて九門の主砲から放たれた鉄鋼弾は米戦艦に向けて直進を続けた。
「敵一番艦、サルヴォー!!」
戦艦ノースカロライナの見張り員のニック軍曹はそう報告したもののあまり危険を感じてはいなかった。
普通、一番先に狙われるのは先頭を行く艦だ。一〇隻の戦艦中最後尾を行くノースカロライナが被弾するのは一番最後のはず・・・・・・
ニックは微笑んだ。
へへ、俺は死なないぞ。カリフォルニアに残してきた恋人に告白して結婚に漕ぎ着けるまでは・・・・・・
そしてそれが不幸なニック軍曹の最後の思考となった。
彼は付近に落着した信濃の主砲弾の上げた水柱にさらわれて、そのまま遭難死したのだった・・・・・・
「ノースカロライナ狭叉!!」
アイオワの見張り員の絶叫が艦橋内に木霊する。
リーは信じられない面持ちで日本の戦艦の一番艦を睨みつけた。
「バ、バカな?!初弾から?しかも何故ノースカロライナから!!」
その答えは案外早く手に入った。
後方からの轟音に振り返ったリーは絶句した。
その視界には恐ろしいくらいの高さの火柱を吹き上げるノースカロライナの姿があった。
信濃の放った三斉射目がノースカロライナに直撃した。
命中弾はたったの一発。
だがその一発はノースカロライナの第二砲塔を突き破り、艦内に堂々と侵入した。
そして信濃の主砲弾は遅発信管を正確に作動させた。
主砲弾に封じ込められていた科学エネルギーの戒めは解かれ、熱と爆風と鋼鉄の破片を周囲に撒き散らした。
そしてその荒れ狂う膨大なエネルギーは砲塔内に安置されていた百発以上の四〇センチ砲弾にも飛び火した。
信濃主砲弾に「エネルギーの解放」を誘われたノースカロライナの主砲弾はその誘惑に堕ちた。
この世のものとは思えない轟音と共にノースカロライナは打ち震え、その衝撃のあまり第二砲塔は吹き飛んだ。吹き飛んだ第二砲塔が駆逐艦の付近に着水し、駆逐艦を揺さぶった。
第二砲塔付近で艦体を真っ二つにされたノースカロライナは浮力を完全に喪失した。
乗組員は必死で排水作業に従事し、ノースカロライナを救おうと努力した。だがノースカロライナの負った傷はあまりに深刻であった。
やがて大量の浸水に耐えれなくなったノースカロライナは沈没を開始。
海底に沈んでいった。
・・・・・・文章にすると長いように思えるが実はほんの一分にも満たない時間しか経っていない。
ともかくこのようにして合衆国がワシントン軍縮条約切れと共に建造した最初の戦艦、ノースカロライナはこうして沈没した。典型的な轟沈であった。
「て、敵第二隊六番艦・・・・・・轟沈!!」
信濃見張り員の報告が終わるや否や信濃艦橋内は歓喜に包まれた。
「やりましたね、長官。先ずは一隻轟沈です!!」
神が嬉しそうに角田に告げた。だが・・・・・・
「静まれ!・・・・・・まだ敵艦隊を全滅させたわけではない。今のは弾薬庫直撃のようだがあのようなものは余程の天佑に恵まれん限り望めない。これからは敵戦艦との熾烈な消耗戦を戦うのだ。気を引きしめい!!」
角田はそう言って油断を戒めた。そして信濃は次なる目標に向けて主砲を動かした。
・・・・・・それにしても凄い破壊力だな。
角田はそう思った。
リー達米海軍は大和型の主砲を四〇センチと判断したようだが事実は四六センチである。今尚、大和型のみが保有する世界最大の艦砲。その砲弾の重量は一.五トンにも達する。ちなみにアイオワ級で一トンであるからその破壊力は段違いである。
・・・・・・大和型三隻を上手く扱えば米戦艦部隊を蹴散らせれる!!
角田はそう確信した。
「ノースカロライナが一撃で・・・・・・」
反対に米艦隊は言い知れぬ敗北感に苛まれた。
アイオワやサウスダコタには劣るものの、艦齢が五年にも達しない新しい戦艦のノースカロライナが一撃で轟沈させられたのだ。無理もない。
「ノースカロライナは防御では問題のある艦だ。あれは元々三六センチ砲搭載の高速戦艦で完成するはずだったのを四〇センチ砲戦艦に修正したのだ。その装甲は三六センチに対するものでしかない」
リーはそこまで語り、一旦言葉をとぎった。
「まだ我々には九隻の戦艦がある!敵は四〇センチ砲戦艦は五隻だ!まだ負けたわけではない!!心してかかれ!!!」
リーの叱咤により合衆国海軍戦艦部隊は生き返った。
米艦隊で初めて命中弾を与えれたのは戦艦アラバマの第四斉射であった。
弾着観測を飛ばしもしないのにこの成績は如何に合衆国海軍が優秀かを物語るいい資料だろう。
・・・・・・残念なことにその命中弾は信濃の厚い装甲に阻まれて海に落ちていったことだが・・・・・・
次に脱落したのは戦艦ワシントンであった。ノースカロライナ級唯一の同型艦のワシントンは大和と武蔵の集中砲火を受けて第三砲塔を旋回不能にされ、機関を破壊されて速力をガクリと落として決戦場からの退場を余儀なくされた。
神大佐の作戦、「敵戦艦部隊で一番、防御の弱い艦から集中的に攻撃し、敵を早期に漸減する」という作戦は図にあたっていた。
なにせ敵戦艦は防御力は種類によって違うが攻撃力はすべて同一の長砲身四〇センチ砲九門である。ならば防御の薄い艦から攻撃するのは常識と言えた。
こうして海戦の序盤は帝国海軍優勢で進んでいった。
・・・・・・だが幾度となく砲撃を繰り返すうちに次第に合衆国海軍が態勢を立て直し始めた。
一撃の威力では大和型に劣る米艦隊だったが主砲の門数と装填速度で勝っており、さらにレーダーと連動した射撃により弾着観測無しでも高い命中率を誇っていた。
「クソッ・・・・・・」
角田は呪詛の声を挙げる。
今のところ大和型三隻にたいした被害はない。だがかなりの数を被弾しており、あちこちで甲板が捲れあがったり、高角砲が全損していたりしている。
「主砲が無事なのは幸いだが・・・・・・」
一方、リーも自らの計算が甘かったと悟っていた。
「ヤマトクラスは四六センチ砲搭載と見るべきだな」
リーの言葉にアイオワ艦橋内は騒然となった。
ゴクリ・・・・・・
誰かが唾を飲み込む音がする。
「四六センチ・・・・・・」
「我々は全艦が長砲身とはいえ四〇センチ砲だ。大艦巨砲の常識で言えば敵の主砲は我が戦艦隊の装甲を貫けるのに我々の砲では敵艦を貫けないことになるぞ・・・・・・」
「だが敵は三隻だ。その三隻さえ潰せば後は烏合の衆にすぎない」
参謀達の議論をリーは自分の結論を示す事で中断させた。
「残った八隻合計七二門の四〇センチ砲を一隻にすべて叩きつける。如何にヤマトの装甲が厚くとも連続の被弾には耐えれないはず。数で押し切るぞ!!」
「敵艦隊変針!接近してきます!!」
「なるほど・・・・・・接近砲戦でこちらの装甲の厚さを無効化しようと言うわけか?」
神が自分の判断を周囲に示してみせる。そしてその判断は角田も同意見である。
「艦長、そろそろ敵第一部隊を狙おう」
角田の指示で大和型三隻合計二七門の四六センチ砲は敵一番艦アイオワに狙いを定めた。
そして轟音と強烈な爆風を連れて四六センチ砲弾は飛び出していった。
「敵艦隊、第一戦隊に砲撃を集中させています!!」
四隻の金剛型戦艦を率いる第三戦隊を率いるのは西村 祥治少将である。
彼は真面目な性格であり、愚直なまでに任務遂行に尽力を尽くすタイプの司令官である。
だが彼の率いる四隻の金剛型戦艦の砲力はあまりに弱すぎた。
四隻あわせて相当数の命中弾を敵サウスダコタ級戦艦アラバマに与えているのだが、ほとんど目立った戦果はない。
逆にマサチューセッツの反撃で霧島が第一砲塔を倒壊させられていた。弾薬庫の誘爆は辛うじて防げたものの、自分達の無力さを痛感するには充分であった。
だが敵艦からの砲撃は止んだ。敵は全砲を大和型に集中させている。こちらには目もくれようとしない。
今こそが西村の願っていたチャンスであった。
「艦長、取り舵だ!敵戦艦に肉迫して戦うぞ!!」
西村の命と共に四隻の高速戦艦は最大速力三〇ノットで敵第二隊に突撃を開始した。
艦隊決戦というものはある意味で海の総力戦である。
空母から飛び立った戦闘機隊が制空戦を繰り広げ、戦艦隊は主砲を轟かせて敵艦を砲撃し、巡洋艦や駆逐艦は敵に肉迫し必殺の雷撃を敢行するために突撃をかける。
帝国海軍第二艦隊に属する第二水雷戦隊旗艦軽巡阿賀野に座乗する木村 昌福少将にカメラを持っていこう。
海戦の開始と共に敵戦艦に雷撃を敢行すべく突撃を続けた第二水雷戦隊と第一水雷戦隊ではあったが敵の巡洋艦部隊と水雷戦隊の妨害により前進は阻まれていた。
こちらも反撃で駆逐艦三隻を炎上させたものの、第一水雷戦隊の駆逐艦不知火、浦風、天津風が撃沈されていた。
駆逐艦ならともかく巡洋艦部隊を相手取るのは至難の技であった。
「マズイな。このままでは雷撃を行うまでに全滅してしまう・・・・・・」
木村はふと視線を同じく苦戦を続ける第一水雷戦隊に向けた。
旧式の軽巡大井を旗艦とする第一水雷戦隊にまだ喪失艦はない。
特に大井とその姉妹艦北上は無事のようだ。
「そうだな、そうするか・・・・・・」
木村はそう呟くと素早く行動を開始した。
「二水戦の全艦は魚雷を発射せよ!これで敵水雷戦隊を蹴散らして一水戦の突撃を援護する!!」
この命と同時に二水戦は動き出し、残った軽巡阿賀野、熊代、駆逐艦雪風、秋雲による雷撃が強行された。四艦合計二四本の魚雷は一気に突き進み、米巡洋艦部隊と水雷戦隊に襲い掛かった。
そして重巡サンフランシスコに巨大な水柱が立ち、傾斜し、転覆し、駆逐艦二隻が撃沈された。
さらに魚雷回避の為に変針を繰り返したために隊列はバラバラになっていた。
そしてそこを重巡高雄、愛宕、摩耶、鳥海で構成される第四戦隊が突進。
こうして第一水雷戦隊の花道は開けた。
あとは行くのみ!!
「木村・・・・・・ありがたい」
第一水雷戦隊司令の田中 頼三少将は木村の座乗する阿賀野に向けて敬礼。
幸い第一水雷戦隊に喪失艦は無く、軽巡大井、北上、駆逐艦島風、浜波、岸波、沖波、朝霜、早霜の合計八隻の水雷戦隊は突進を再開した。
目標はもちろん敵戦艦!
だが距離が近づくに連れて敵戦艦の両用砲による砲撃も開始された。
だが第一水雷戦隊の勇者達は怯むことなく前進を続けた。
幾度となく大井を至近弾の水柱が襲う。
だが田中は表情一つ変えずにいる。その視線は敵戦艦のみを捉えていた。
「距離一二〇〇〇!!」
だが田中は微動だにしない・・・・・・
「バカな?!早く撃て、田中!!」
木村は思わず叫んだ。
敵の砲撃は止むどころか益々激しくなり第一水雷戦隊に襲い掛かる。
「距離一一〇〇〇!!」
その時であった。
今までに無い猛烈な衝撃が大井を襲った。
被弾したのだ。
被弾箇所を見ると大井の主砲が全損していた。火災も発生している。
だが田中は前進を続けさせた。
そして距離が一〇〇〇〇になった瞬間・・・・・・
「撃てーッ!!」
ようやくにして第一水雷戦隊の全艦は雷撃を開始した。
海中を征く魚雷群。
それも日本の魚雷は世界最高級の速力と射程と破壊力を誇る九二式酸素魚雷である。
これは魚雷の機関の燃焼を酸素で行うという物だ。通常では空気を用いて燃焼させるのだが、知ってのとおり酸素は大気中にわずか二〇%しか含まれていない。残りの窒素やら二酸化炭素やらは燃焼できずに外に出すしかない。
この時にでる酸素以外の気体こそが、映画などでよくみる魚雷の引く泡の正体だ。
酸素は燃焼すれば水に化学変化する。水ならば幾ら出しても航跡を引く事は無い。
これゆえに酸素魚雷は従来にない秘匿性をもっているのだった。
そして第一水雷戦隊の発射した魚雷の数は七六本である。
普通、一艦で発射できる魚雷はせいぜい六〜八本であろう。とすれば第一水雷戦隊の放った魚雷は六〇本前後のはずである。
だがこの数字は誤植ではない。
何故なら軽巡大井と北上は何と片舷で二〇本もの多数の射線を誇る、世界最強の重雷装艦なのだ!!
米戦艦に襲い掛かった七六本の魚雷のうち命中したのは七本。
およそ一割である。
まぁ、この成績は悪くは無いだろう。
田中は七本の水柱を見て満足げに頷いた。
努力が正統に報われた者が示す満面の笑みであった。
「ガッデム!浸水を止めろ!!」
戦艦サウスダコタ内は狂乱と化していた。
サウスダコタに命中した魚雷は四本。
しかも艦首から艦尾まで満遍なく命中したのだ。
雷撃を左舷から大量の浸水が始まっていた。
「ダメだ!隔壁を閉鎖しろ!!」
「だがまだ向こうには何人かがいるんだぞ?!」
「知るか!他人にこだわって自分は死にたくねえぞ!!」
「この人でなしが!!」
「うるせえ!死にたくなけりゃ手伝え!!」
だが海水は彼らの努力を嘲笑うかのように隔壁を閉鎖しようとする彼らを飲み込んだ。
その水圧で壁に叩きつけられた彼らは全身の骨を粉砕された。痛覚を感じる前に死んでいたのだから幸せだったのかも知れない。
ともかく浸水を止めれなかったサウスダコタは左舷に傾き、転覆した。
残った戦艦はこれで七隻となった・・・・・・
だが米海軍の水雷戦隊も反撃に転じた。
「ようし、突撃せよ!!」
「三一ノットで、ですかな?」
参謀の軽口に司令官のアーレイ・バーク少将は微笑んだ。
戦場においてもユーモアの余裕を残している者は強い。これは古来からの鉄則であった。
「ジャップの水雷戦隊は出払っていていない!いまこそトライを決めるチャンスだ!!」
アーレイ・バークはかつての第一次ガ島争奪戦に敗北した米軍が撤収する際に日本の重巡部隊と交戦して見事に打ち破ったことで出世のチャンスを掴んだ男だ。(詳しくは第五章 ガ島制圧セリを参照)
ある意味でアメリカン・ドリームの体現者の一人である彼の水雷戦隊の狙いは大和型ではなかった。
彼の視線の先にはサウスダコタ級インディアナと砲戦を繰り広げる戦艦長門が映っていた。
長門の副砲の砲撃を回避しながらアーレイ・バーク隊は雷撃を敢行した。
そして長門に三発の水柱が上がった。
「ウィ・ガット!(やったぞ!)」
バークはガッツポーズ。
そして「ようし離脱だ!三一ノットでな!!」
だが長門はまだ無事であった。
だが長門の速力は大いに落ち、戦線からの離脱を余儀なくされた。
「クソッ!!」
長門艦長の兄部 勇次大佐は忌々しげに離脱を続ける米水雷戦隊を睨みつけた。
もはや浸水による傾斜の為に主砲は使えなくなっていた。
そしてそこに海戦開始からすぐに脱落していたはずの戦艦ワシントンが襲い掛かった。
ワシントンは第一、第二砲塔が健在であり砲戦自体は可能であった。
対する長門は艦の傾斜の為に全砲塔が使用不能であった。
そしてワシントンによる一方的な虐殺が開始された。
ワシントンが咆哮する度に長門の副砲や高角砲、機銃といった装備、そしてカタパルトなどの艦内構造物が吹き飛ばされていく。
この二艦は戦場から遠くに離れてしまっていたので長門の救援に駆けつける艦は無かった。
そしてワシントンが長門に放った第八斉射が長門の第四砲塔を貫いて、弾薬を誘爆させた。
「クッ・・・・・・まだ撃てないのか?!」
絶望的な状況下でも兄部は希望を捨ててなかった。まだその闘志が衰えておらず、反撃の時が来るのを待っていた。
「ダメです!敵の砲撃で傾斜が増すばかりです!!」
「うぬぅ・・・・・・」
せめて主砲が健在ならば負けはしないものを・・・・・・
そして兄部は薄く笑った。腹をくくったのだ。
「砲術長、かまわんから撃て!!」
「し、しかし、この傾斜では撃つとバランスが崩れて転覆します!」
「このままではなぶり殺されるだけだ。どうせ死ぬなら一人でも多く道連れにしろ!!」
そして長門は傾斜したままで健在の第一、第二、第三砲塔の計六門の四〇センチ砲を放った。
その弾道は正確にワシントンを捉えていた。
前述したようにノースカロライナ級戦艦の防御力は三六センチ砲に対するものでしかない。
そして六発の四〇センチ砲弾のうち二発がワシントンに命中した。
一発は艦首を抉り、艦内の兵員室を粉砕した。
そして最後の一弾がワシントンの艦橋を直撃。艦長以下のワシントン首脳部を挽き肉に変えてしまった。
この一撃によりワシントンの作戦能力は完全に喪失した。
このことを疑問視するものがいるとすれば考えてみるといい。頭を吹き飛ばされて貴方は戦えますか?
艦橋への直撃弾を与えたことを見た兄部は拳を握り締めて、振り上げてその喜びを表現した。
「よし、第二射、続けて撃て!!」
そして再び六門の主砲が咆哮したその時・・・・・・長門は力尽きた。
元々射撃不能な傾斜角にも関わらず射撃を行っていたのだ。その射撃時の反動は長門の浮力バランスを崩すのに充分であった。
ガクリ、と急激に傾斜を増やしていく長門。
「もはやこれまでか・・・・・・」
兄部はそう呟くと伝声管に叫んだ。
「総員退艦!!」
・・・・・・・・・・・・
艦橋から甲板を見下ろすと多くの生存者が海に飛び込んで生き残ろうとしている。今、艦橋にいるのは兄部艦長のみである。
「世界のビッグセブン」
かつて長門は僚艦陸奥と共にそう呼び称されていた。これは当時、四〇センチ砲戦艦が世界中でも七隻しかいなかったことに起因している。
それだけに日本国民は皆、長門と陸奥を慕っていた。イロハカルタに、「日本の誇り」とまで謳われた事もある。
「長門・・・・・・お前の艦長が務めれて俺は幸せだったぞ。お前も米海軍の新鋭戦艦と刺し違えれて幸せか?」
そう呟くと兄部はポケットウィスキーを取り出した。
グイッと一杯飲む。
そして長門にもそのウィスキーをかけてやる。
「美味いか?さあ、靖国に行くまでの間に俺とお前で酒盛りでもしようや・・・・・・」
そして二人の酒宴は長門の生存者が全員退艦し終えてから一五分後に長門が海中への旅路を歩み始めるまで続いた・・・・・・
一方、ワシントンも長門の最後の攻撃で沈没しようとしていた。
最後に長門の放った主砲弾は実に五発が命中していた。これは艦砲の命中率としては異常に高いものであった。
艦全体を叩かれ、穿ち抜かれたワシントンはほぼ艦の全域で火災を発生させ、業火に崩れ落ちるかのようにゆっくりと沈没を開始した。
こちらも総員退艦の命令は出され、その乗組員の多くが脱出に成功していた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一方、米戦艦部隊の集中砲火を浴びている大和型三隻の第一戦隊は苦戦を免れ得なかった。
すでに三隻とも一〇発以上の四〇センチ砲弾を受けている。
だがそれでも主砲は健在であり、一定のペースで四六センチ砲弾を発射し続けていた。
米艦隊の方も戦艦アイオワの三番砲塔が砲身をへし折られて射撃不能となり、ニュージャージが砲撃指揮所を破壊されるなどの損害を被っていた。
「長官、このままでは・・・・・・」
神の悲痛な叫びがするが角田としても対策が思いつかなかった。
長門と陸奥、伊勢、日向で構成される第二戦隊は狙われてはいないが陸奥がアラバマの第二砲塔を旋回不能にさせた以外の戦火を示せず、逆に水雷戦隊に長門が大破させられて後に撃沈されるという痛手を被っていた。
金剛型四隻の第三戦隊は接近砲戦を挑むべく前進を続けてはいるが三六センチ砲ではどこまで役に立つかはわからない。
そうこうしている間にも大和が被弾した。
「大和、被弾するも主砲は被害は軽微なり!まだ大丈夫のよう・・・・・・」
見張り員はそう報告しようとするがすぐに絶叫した。
そして角田も目を見張った。そして怒鳴った。
「どこに行く?!大和!!」
「敵三番艦、変針しました!!」
「どういうことだ?」
「おそらくは・・・・・・」と断ってから砲術参謀がリーに答えた。
「舵か何かがやられたんでしょう。となれば撃沈するなら今がチャンスです。全艦の砲撃をあの三番艦に集中させましょう」
リーはしばらく考える眼をした。だがそれも一瞬であった。
「よし、目標を敵三番艦に変更しろ!!」
アイオワ級四隻、サウスダコタ級三隻合計六〇門の長砲身四〇センチ砲が大和を指向し、射撃を開始した。
六〇発の四〇センチ砲弾の上げる水柱に、大和の六万トン以上にも達する巨体は揺さぶられた。
だが大和はそんなもの、意にも止めないかのように轟然と九門の四六センチ砲での反撃を続けた。
「そうだ、もっと本艦に攻撃を集中しろ・・・・・・」
大和艦長森下 信衛大佐はさも嬉しそうに笑う。
彼もまた第一次ミッドウェー海戦で味方を庇うためにオトリとなり、そして業火の中に倒れた空母蒼龍艦長柳本 柳作に習うことにしたのだ。
幸いにも敵艦隊は気付いた風はなく、その砲力を大和に集中させている。
「よし、取り舵だ。敵艦に肉迫して一気に仕留めてやる!!」
しかしその時、艦橋内から見える敵第二隊の三番艦が炎に包まれた。
大和の砲撃ではない。ましてや信濃や武蔵のものでもない。
「何だ、一体?!」
「何とか間にあったか・・・・・・」
その正体は四隻の金剛型戦艦で構成される帝国海軍第三戦隊であった。
四隻の金剛型戦艦は三〇ノットの高速で接近し、サウスダコタ級四番艦アラバマに砲撃を加えたのだ。その距離は二六〇〇〇。
さすがにそこまで接近されると三六センチ砲弾でもサウスダコタ級にダメージを与えることは可能だ。
四艦合計三〇発の三六センチ砲弾のうち四発が命中し、信管を作動させ、アラバマの第一砲塔の砲身を切断した。もはや射撃不可能なのは一目瞭然である。
「ようし、遠慮するな!その調子でドンドン撃て!!」
第三戦隊司令長官の西村は満面の笑みで激励する。
三六センチの旧式戦艦が四〇センチの新鋭戦艦に撃ち勝つ・・・・・・これは相撲に例えるならば大金星である。
だが西村の喜びは長くは続かなかった。
サウスダコタ級三隻が目標を生意気にも接近してきた第三戦隊に変更したのだ。
金剛型は三六センチ砲ならば耐えれるのだが四〇センチを受けては一溜まりもない。
金剛が一撃で第二、第三砲塔を破壊され、比叡が機関を破壊されて速力をガクリと落としてしまった。
そしてその比叡に水雷戦隊が群がり、魚雷二本を受けて激しく炎上しながら転覆。
開戦以来ずっと機動部隊と共に太平洋を暴れまわった金剛型に初の損失艦がでた。
そして二番目は榛名であった。
榛名は第一砲塔を破壊されたアラバマの復讐の一撃を受けた。四〇センチ砲弾の直撃に耐えれなかった榛名の装甲を食い破り、弾薬庫で炸裂したアラバマの四〇センチ砲弾は榛名を死に至らしめるのに充分であった。
アラバマの放った魔弾に弾薬庫を誘爆させられた榛名は艦体をバラバラにされて轟沈した。おそるべきは距離二六〇〇〇での四〇センチ砲の破壊力であった。
だがサウスダコタ隊は第三戦隊に気を取られ過ぎた。
第三戦隊との砲撃戦の間に大和とサウスダコタ隊の距離は三〇〇〇〇を切ろうといていた。
「比叡、榛名・・・・・・仇はとってやるぜ!」
大和の放った九発の四六センチ砲弾は戦艦インディアナを捉えた!!
インディアナ周囲に次々と落着する四六センチ砲弾・・・・・・
一発、二発、三発・・・・・・
世界最大の艦砲、四六センチ砲の吹き上げる水柱は世界のどのものとも比べ物にならないくらいに太く、多きい。インディアナは荒天の中の木の葉のように揺さぶられた。
そして五発目の砲弾がインディアナを貫いた。
その命中箇所は艦橋の付け根であった。そして炸薬を解放した砲弾はインディアナ艦橋の支柱を折った。
これにより支えを失ったインディアナ艦橋は倒壊した。その艦橋だった塊の直撃を受けた第二砲塔はペシャンコになった。無論、砲塔要員は全員戦死である。
次にあたったのは七発目であった。
それは煙突を貫き、機関室にまで四六センチ砲弾は闖入した。機関室のボイラーを破壊され、インディアナ艦内は一気に灼熱地獄と化した。
最後に命中したのは八発目。
その一弾は喫水線ギリギリに命中し、インディアナに魚雷命中と同様の被害を発生させた。次々と噴き出してくる水。そしてその海水を山ほど飲まされたインディアナは遂に前進を停止。主砲も完全に沈黙した。
だが大和も遂に終焉の時を迎えようとしていた。
戦艦ミズーリの放った四〇センチ砲弾に、今まで強靭な耐久力をみせていた大和第二砲塔は終に膝を屈した。
第二砲塔が倒壊する時の音は世界最強の海獣がその激痛に苦悶の叫び声を上げるが如き壮絶さを秘めていた。
「クソッ、第一、第三砲塔、使えるか?」
第二砲塔に関しては聞く必要があろうか?
「いけます!!」
「よし、撃て・・・・・・」
そう言おうとした森下であったがそれは叶わなかった。森下は眩いばかりの光に言葉を奪われた。
・・・・・・大和型は四六センチ砲戦艦ではある。だが人の造りしものである以上、弱点はある。おまけに大和は米軍が四〇センチ砲戦艦と見紛うた程にその大きさは主砲の大きさにしては小さなものである。
小型化に気を使ったが為に防御力はややおろそかと言わざるを得なかった。
そして大和の艦首と艦尾に一基ずつある副砲の装甲は一五センチ防御でしかない。
そう、戦艦ニュージャージの放った一弾は大和のアキレス腱でもあるこの副砲を貫いた。
そして四〇センチ砲弾は大和艦内の一五センチ砲弾を次々と誘爆させた。
「消火開始!!」
大和を沈めまい、と乗組員が必死の消火にあたる。だがその炎の勢いは強すぎた。
逆に多くの乗組員が炎に包まれて行方不明となった。
そしてその炎は先程倒壊した第二砲塔に侵入・・・・・・砲塔要員が全員戦死していたのでその炎の侵入に抗う者はなかった・・・・・・
大和の最強の武器は大和自身に牙を剥いた。
「おお・・・・・・・・・・」
海戦に参加する誰もが絶句し、言葉を失った。
大和は同じく弾薬庫に誘爆を起こし、爆沈した榛名、ノースカロライナとはまったくスケールの違う、巨大なキノコ状の黒煙を上げて、艦首から真っ二つとなり沈没していった。
世界最強の超弩級戦艦大和は六倍もの数の敵に対し一歩も怯む事無く突き進み、敵艦を屠り去り終に力尽きて倒れたのであった。
壮烈極まりない最後であった。
そしてこの巨艦の最後は日米両軍の戦意を奪い去った。
「撤退する・・・・・・これ以上戦っては最新鋭のアイオワ四隻も失いかねん」
リーはそう結論付けると残存の艦艇を集めて撤収を開始した。
「追撃しますか?」
神の提案に角田は首を横に振った。
「いや、信濃、武蔵の被害も大きい・・・・・・敵のアイオワ級四隻は無傷ではないがまだまだ健在だ。これ以上は無理だろうよ・・・・・・」
「それにしても大和が沈むとは・・・・・・」
「いや、敵は新鋭戦艦だけで一〇隻。こちらは数は一一隻だが大半は旧式艦。如何に大和型が四六センチ砲戦艦でも下手すれば一方的にやられていた・・・・・・我々は勝ったのだ」
角田は通信参謀の方を向き、「GF司令部に連絡。『敵の撃退に成功せり」だ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうしてマリアナ沖の大海獣の宴は終わった。
日米双方の戦艦の被害は・・・・・・
日本:沈没 大和、長門、比叡、榛名、、霧島(海戦後自沈)、伊勢(海戦後自沈)
大破 基本的に無し。回航できそうにないものは自沈処分
中破 信濃、武蔵、陸奥、金剛
小破 日向
米国:沈没 ノースカロライナ、ワシントン、サウスダコタ、インディアナ、アラバマ(海戦後浸水増加にて沈没)
大破 マサチューセッツ
中破 ニュージャージ、ミズーリ、アイオワ
小破 ウィスコンシン
と言うものとなった。
角田の言う通り、三隻しかない開戦後に就役した大和型で望める最良の戦果を示したと言える。
この結果は結城 繁治GF参謀副長にとって満足すべきものであった。
米海軍はこれに先立つ航空戦の結果、空母搭載機に致命的な損害を受けている。
戦艦部隊と共にその穴埋めにはかなりの時間を要するはずであった。
「さて、この期間内にすべての計画を進めないとな・・・・・・」
結城はこれからも続く血と硝煙の宴を楽しみにする魔王ルシファーの笑みを浮かべてGF司令部を退室した。
まだまだ戦争は終わらないのだ・・・・・・
一方、この日・・・・・・
一隻の潜水艦がシンガポールにたどり着いた。
長期の航海の末にその船体は酷使され、ボロボロとなってはいるが確かにそれは潜水艦伊八号であった。
友邦ドイツへの技術交換に向かったこの潜水艦はようやくにして生還してきたのであった。
そしてその積荷は帝国を破滅から救う、究極の兵器の集まりであった・・・・・・
さらに同日・・・・・・
高空を征く爆撃機の部隊があった。
ボーイング社B29 スーパーフォートレス。
塗装もせず、剥き出しとなったジェラルミンの肌・・・・・・
長大な主翼・・・・・・
のっぺりとした今までにない形の機首・・・・・・
そして強力な馬力を発揮する四つの心臓・・・・・・
この機体こそ今までの戦争のやりかたを根底から覆す悪魔の爆撃機であった・・・・・・